店長おすすめの一枚 2003年9月

JAGATARA/君と踊りあかそう日の出を見るまで

JAGATARA/君と踊りあかそう日の出を見るまで
  1985年作品 ロック/ファンク(日本)
  Solid CDSOL0017

    曲目
 1.TANGO
 2.BIG DOOR
 3.岬でまつわ
 4.BIG DOOR
 5.少年少女
 6.HEY SAY


人間だから後悔する事はある。
「あれをすれば良かった。」「あれを買えばよかった。」等など。
「あのグループのライヴ見ておけばよかった」もその一つ。
70年生まれの僕にとって「ビートルズのライヴを見たかった」はあくまでも夢でしかない。
見る事が出来たのに見なかったのは心残りである。
JAGATARAのライヴは僕にとって最大の心残りのライヴである。

90年前後の数年間、学生として僕は東京に居た。
89年に発売されたメジャーでの2枚のアルバムも確かに聞いていた。
MM誌も読んでいたのでJAGATARAのリーダー江戸アケミのインタビュー等も目にしていたし、ライヴ情報も知っていた。
しかしライヴ会場には足を運んでいなかった。
お金が無かった事も有るだろうし、いつでも見る事の出来る日本人よりも、次いつ来るかわからないガイタレを見に行くべきだと思っていたのだろう。
しかしその考えが間違いだったと気づく日が来る事になる。
いつものように教室の一番後ろで音楽雑誌を読む僕に、隣で新聞を読んでいた友達が声をかける。
「会長(僕のあだ名)この人知ってる?」
と言いながら新聞を手渡す。
「江戸アケミ、自宅で入浴中に溺死」と書いてある。
それは朝日新聞だった。
一番最初の印象は「朝日新聞で取り上げるほどメジャーだったの?」であるが、次第に「ライヴ見ておけばよかった。」と後悔の念に変わっていく。
CDも確かに愛聴していたが、「このグループの本質はライヴを見ないとわからない」と思っていた。
なのにライヴに行っていない。
いつでも見られると思っていたのだろう。
後悔先に経たずである。
TV等でもこの出来事を取り上げていたようだが、関わりたくない僕としてはワイドショーの類も一切見なかった。
とりあえずこの事を早く忘れたかったのが正直なところ。
でもしばらくは心の中のどこかに穴が開いた気分だった。
そこまでが当時の事で覚えている事。
後悔の念は今でも変わらない。

今回紹介しているこのアルバムはライヴ・アルバムである。
といっても通常の物とは少し違う。
83年11月23日と84年2月25日のライヴを収録。
11月のライヴ以後アケミは精神分裂症で入院している。
入院前と入院中のライヴである。
そしてこのアルバムはアケミの完全復帰を記念して85年に作られたアルバムである。
前の3曲が83年、後の3曲が84年のライヴである。
聞き比べてもらうとわかるが、後の方がアケミの声が弱弱しい。
そんな事を差し引いても貴重なライヴには違いが無い。
いつも聞く度にライヴに行くべきだったと思ってしまう。

アルバム紹介ではなく思い出話になってしまったが、JAGATARAは他に例えようの無い地点を目指し音楽をしていた事だけは間違い無い。

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