店長おすすめの一枚 2003年4月

エディ・パルミエーリ/山へ行こう

エディ・パルミエーリ/山へ行こう
  1971年作品 アメリカ(サルサ)
  Tico 1225

    曲目
 1.反乱/理由ある自由
 2.歩きながら
 3.山へ行こう
 4.ずるい老人
 5.私は知らない
 6.狂人たちの行列

今回紹介するのはサルサのCDです。
サルサとはラテン音楽のひとつのジャンル。
ニューヨーク・ラテンと言われることも多いですが、プエルトリコやキューバといった国からニューヨークに移民してきた人達により作り上げられた音楽です。
数多くあるサルサのアルバムの中でも名盤中の名盤(と僕が思っている)を紹介します。

サルサは60年代末にニューヨークで生まれました。
ベースはキューバの「ソン」と言う音楽。
60年代半ばミュージシャン達はバンドの仕事が終わった後、夜な夜なクラブに集まってはデスカルガを繰り返していました。
デスカルガとはジャム・セッションの事。
このデスカルガの中で自分達の新しい音楽を模索していたようです。
それが実を結び始めたのが60年代末。
それがサルサが現在のスタイルに定着したのが70年からのようです。
このアルバムはデスカルガの重要人物によりサルサ誕生の直後に発表された作品です。

エディー・パルミエーリは36年にニューヨークに生まれ両親はプエルトリコ出身。
歳の離れた兄の影響でプロのピアニストになる。
20歳で有名バンドに所属。
62年にリーダーアルバムを発表。
そのアルバムでは、切れが悪い為ラテン音楽のリズムに合わないとされていたトロンボーンを2人起用し、迫力のあるサウンドを実現。
そのスタイルは他のバンドも真似をして流行となりました。
しかしパルミエーリは60年代末でこのスタイルを捨ててしまいます。
そうして始めたのが「ハード・サルサ」と呼ばれるスタイル。
サルサ以外のアフロ系の音楽との融合を試みていますが、その一つの集大成となったのがこのアルバム。
10年ほど前に日本盤で多くのサルサの作品がCD化され、まとめて聴く事が出来たんですが、一番気に入ったのがこの作品。
一般的な「リラックスしたリズムで熱い演奏」といった物ではなく、「迫り来るようなリズムに高い緊張感」を感じました。
もう直球勝負で前へ前へと押してきます。
その内容と「山へ行こう(原題:VAMONOS PA'L MONTE)」というピクニック気分ののん気さにギャップを感じていたんですが、調べてみたら「カリブでは反乱を起こした人たちは、山にこもるの」だそうで、革命の狼煙を上げているんだとしたらなるほどである。
先程の「サルサ以外のアフロ系の音楽との融合」とゆう動きに、同じサルサ界で呼応する作品は生まれませんでしたが 、同時代の別の地点(ジャンル)から同じ地点を目指しているアーティストがいました。
マイルス・デイヴィスとP-ファンク
サルサという縦軸の中で考えるよりも、こうした同時代のミュージシャンと同じ平面で眺めてみるほうがこの作品を表現していると思います。

翌年のシンシン刑務所でのライヴ「ライヴ・アット・シンシン」もうねるようなリズムの洪水で凄いので是非聴いて欲しいです。
全てのアフロ・アメリカン音楽のファンに聴いていただきたい。

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