店長おすすめの一枚 2002年8月 |
桜川 唯丸/ウランバン
曲目 |
「夏」と言えば皆さんは何を思い浮かべます? 海、山、プール、スイカ、ビール、ラジオ体操、高校野球...色々あるでしょう。 その中に「祭り」とゆうのも入るでしょうね。 夏祭りと言えば盆踊り。 今回紹介するアルバムは伝統芸としての音頭を伝えながら新しいものを貪欲に取り入れる江州音頭の桜川唯丸の紹介です。 江州音頭と言ってもわかる方はほとんどいないですよね。 河内屋菊水丸が有名な河内音頭の方がまだ伝わるでしょう。 あまり詳しくないのですが、河内音頭は大阪、江州音頭は滋賀県発祥の物です。 この江州音頭(桜川唯丸)との出会いは、1991年8月30日世界中の音楽の祭典として知られるイヴェント『ウォーマット91 イン 横浜』の初日の事でした。 ピーター・ガブリエルが発起人と知られるこのイベントの、日本での第一回目の初日の事です。 ユッスー・ン・ドゥールを知ってワールド・ミュージックの扉を開いた僕ですが、知っているのはごく一部。 その日のお目当てはラストに出てくる上々颱風。 ユッスーも2日目のラストに出ていました。 資料が無いのでかすかな記憶に頼るのですが、桜川唯丸の出番は初日の一番最初。 江州音頭と聞いてもピンとこない僕は友達と「菊水丸だったら良かったのに」等と、CMでちょっと聞いたことのある名前を口走っておりました。 昼間からの野外フェスティヴァルでしかも平日の金曜日、人の数は当然まばら。 ビニールシートを持ち込んだ我々は前の方に陣取り、ビールを飲みながら寝転がっていました。 何が行われるのか知らないので古臭い盆踊りみたいなのを想像していました。 しかし始まった音楽は全く違った。 確かにリズムは音頭のリズムだがエレキ・ギター、キーボードが入っていて格好いい。 第一期ネーネーズや河内家菊水丸等のプロデュースで有名になる佐原一哉(kb)に紹介され唯丸氏が登場する。 サングラスをかけた派手な和服姿のおやじである。 こぶしがまわるその歌声はバックの音に合っているのかどうか分からない程の違和感があるのだが、音楽に身を任せていると凄く気持ちがいい。 前の方で踊りだす連中もあらわれた。 伝統的と思われる詞の内容から、最近の時事ネタまで詞の中に盛り込まれている。 踊れるだけでなく詞を聞いていても楽しい。 日本にこんなに楽しい音楽があるんだとビックリした。 少し調べてみると江州音頭や河内音頭はその時の時事ネタなどを盛り込んで歌にするのも一つの特徴らしい。 伝統を守りつつ新しい物を絶えず取り込んでいく物なんだそうである。 ラップなどの元祖とも言えなくはないのではないかなー。 このアルバムが発売されたのが91年12月。 バックの演奏はスピリチュアル・ユニティー。 ウォーマッドでもバックをつとめたバンドで前出の佐原氏も一員である。 3曲目の唯丸節はインドネシア歌謡から童謡やら般若心経やらチンドンまで、とんでもなく雑多な音楽要素を注入し江州音頭の一大万華鏡を展開しています。 江州音頭の革命児と異名をとる彼の入魂の力作です。 このページを書くにあたりインターネットで検索をしていたら、「二代目桜川唯丸」の文字が。 詳しく調べてみると94年8月で初代桜川唯丸は引退、現在はお弟子さんが二代目を襲名との事。 桜川唯丸関係のCDを調べてみたんですが、現在はこのアルバムを含め何も出ていないんです。 一番入手し易い所では、上々颱風の1stアルバム「上々颱風」の中の『仏の顔もIT'S ALL LIGHT』とゆう曲で歌っています。 曲自体もいい曲で、唯丸師匠の素晴らしさも十分生かされています。 ヒットしたアルバムなので既にお持ちの方も多いはず。 今回紹介したこのアルバムも、江州音頭としては桁違いの売れ方だったので時々中古盤店で見かけるかもしれません。 その時は騙されたと思って是非ゲットして下さい。 |