店長おすすめの一枚 2002年5月 |
LENINE/未知との遭遇の日
曲目 |
ブラジル音楽です。 ブラジルの音楽というと皆さん何をイメージします? ボサノヴァ、サンバ、こんな所でしょうか。 マルシアを思い浮かべた人はいないでしょうね(笑)。 ボサノヴァもサンバも確かにいい音楽ですが、これでは30年程前から何も変わっていませんね。 ブラジルの音楽は30年間変化していないんでしょうか? 日本に置き換えると「日本の音楽は?」と訊かれ「演歌、民謡」と答えているようなものです。(かなり乱暴ですが) 間違っていはいませんがそれだけではないですもんね。 移民などがあったりして日本とは関係の強い国ながら、意外と文化が知られていない国です。 そうそう「元気ですかー」のあの人もブラジル移民でした。 サッカー、グレイシー柔術だけでなくブラジル音楽の今もきちんと認識して欲しい。 10年程くらい前に外資系のCD店が新しい感覚の日本のロック・ポップスの事を"J−POP、J−ROCK"と呼びはじめ、今やすっかり定着した感がありますが、ブラジルにもそういった新しい感覚のポップスがあるんです。 その筆頭がここに紹介するレニーニです。 一言で表現するのは難しいですが、ブラジルのリズムにロックの感覚とヒップ・ホップの方法論を掛け合わせた感じ。 キーワードは"ストリート感覚"。 別に街の中で流れている音楽とゆうわけではありませんが、ブラジルの地方都市の空気を伝えていると思います。 このアルバムは彼にとって3rdアルバムで、メジャーからは初の作品。 93年にマルコ・スザーノとのコンビ(レニーニ&スザーノ)でアルバム「魚眼」を発表。 インディーからの発売だったにもかかわらず世界中で好評価をえる。 97年6月の来日ライヴを経て今作を発表。 ジャケットを見てのとおりアルバムのコンセプトは"SF"といったところか。 アルバムのでだしがダイヤルアップのインターネットの接続音。 数年後には常時接続が当然になると聞かれなくなる音ですが、97年のアクセス方法としては当然の事か。 彼はここで何にアクセスをしようとしているのでしょう? 一曲一曲が一つ一つの短編小説のように完結していながら、まるで長編映画を見ているかのような構成になっています。 ボサノヴァのような静寂、サンバのような激情も随所に見られ、これぞブラジル音楽といった所か。 同時代のブラジルのアーティスト達が激情性で押し切るのに比べると幅広いリスナーに聞かれる要因かもしれません。 99年の作品「アンダー・プレッシャー」も力作です。 ここ数年僕的には、フランス在住アラブ人の音楽、日本のフリー・ジャズとならんでもっとも面白いと思えるのが、このブラジルの新世代の感覚を持った音楽です。 レニーニの他にはカルリーニョス・ブラウン、ペドロ・ルイス&パレーヂ、ファロファ・カリオカ といったところも聞いていただきたい。 本当の意味でのミクスチャー感覚がありますよ。 是非ともロックファンには聴いていただきたい。 |