店長おすすめの一枚 2002年4月 |
VAN MORRISON/MOONDANCE
曲目 |
孤高とゆう表現がまさにピッタリのロック・シンガー ヴァン・モリソンの70年発表のワーナーからのソロ2作目。 64年にゼムとゆうロック・バンドでプロとしてデビュー。 当時ローリング・ストーンズやアニマルズを"黒っぽい"と表現しましたが、ゼムの方がさらに黒っぽい。 リアルタイムに日本でゼムを聴いていた人って少ないんだろうな。 レコードはシングルもアルバムも高いんですよ。 「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」「ヒア・ムザ・ナイト」「グローリア」(ジミヘンのカヴァーも有名)といったヒット曲があります。 66年にグループを脱退した彼は68年にソロ・アルバム「アストラル・ウィークス」を発表。 ここからが彼のピークである事を否定する人はいないでしょう。 ゼム時代のしゃがれ声で力強く歌うソウルフルなスタイルから、暖かく包み込むようなヴォーカルスタイルに変化。 至高とゆう言葉がピッタリの声に。 作品のスタイルも変化。 ゼム時代の悪く言えばR&Bのコピーから、ソウルやゴスペルそして故郷のアイルランドの音楽を素材としてオリジナルな世界を表現しています。 人によっては「アストラル・ウィークス」をベストに挙げる人がいるかもしれませんが、僕にとっては次の作品であり今回取り上げた「ムーンダンス」がNo.1。 今作はさらにジャズにも接近しバラエティーにとんだ内容になっています。 2曲目のタイトル曲はジャズ、ソウル、そしてロックの様々な要素が自然に一つになっています。 ロック・ミュージシャンがジャズ的なものを取り入れた曲としては最高の一曲でしょう。 後に自身もジャズとしてセルフ・カヴァーしたり、ジョージ・フェイムが取り上げたりしている事で証明されています。 日本盤CDの解説の中で大鷹氏がスティングのアルバムと比較してこの曲の素晴らしさを表現していますが、内容自体はまったく納得するものの、この曲と比較してはスティングが可哀想です。 まさに名曲中の名曲。 3曲目の「クレイジー・ラヴ」はソウル的なバラード曲。 日本人好みな曲調なのか、僕の好きな日本人ミュージシャンもカヴァーしています。 CMJで一時人気のあった町田謙介は自身の弾き語りにアコーディオンを加え、オリジナルに近い曲調ながらもファンキーなヴォーカルを前面に押し出し、関西のブルースマンAZUMIは彼流のブルースに仕立て上げ丹念に歌い上げています。 どちらも聴いていただきたい。 4曲目のキャラバンはライヴでは今でも歌われている人気曲。 バラエティーに富んでいて駄曲が無い事もこのアルバムの素晴らしさの一つでしょう。 このアルバム前後の数年間の作品はどれも素晴らしい。 そして90年前後にももう一つのピークをむかえています。 こちらはより自然に自分のルーツであるアイルランドに向かい合っています。 こちらも機会があれば聴いていただきたい。 WOMADとゆう世界中の音楽を紹介するフェスティバルが日本でも10年程前に数回開かれましたが、そのフェスティバルの第1回目か2回目に来日するとゆう噂があり、スタッフも招聘に力を入れていたみたいですが、飛行機嫌いの彼が認めず日本の土は未だに踏んでいません。 期待していただけに残念。 未だ見ぬミュージシャンの最高の大物といったところでしょうか。 フリーソウルの流れとして、ブルー・アイド・ソウルとして、アイルランド・ミュージックとして、いろんな視点から多くの方に聴いていただきたい。 |