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2005/07/01(Fri)

昼休み、街を歩けばチラシ配りの人を見る。
強い陽射しに魂を抜かれまいと、悲しみを見抜かれまいと笑顔で隠しているような健気な人々が目にとまる。
経験してはじめて知る世界。
彼女たちは何を思いながらそこに存在しているのだろう。

少し前、私もチラシ配りをした。
手作り感溢れるチラシに割引券をつけて。
CDの割引券なんて欲しいに決まっていると考えた私がどうかしていたんだ。
これは世間一般の人々の思考を自分自身と同一化させてしまった、実に愚かで自己中心的かつ都合のいい解釈に過ぎなかった。
無論、そんなお調子者は私だけ。
ほんやらどおには優れた脳が2つありますのでご安心を。

チラシ配り
一言で言えば、辛い。
辛いに尽きる。
チラシの束を抱え、ほんやらどおから一歩外に出ると動悸が激しくなりこれからはじまる試練から逃げ出したいとさえ思ってしまう情けない自分に吐き気がする。
いろんな思いが交錯し収拾がつかなくなる手前で目的地に到着する。
到着と同時に全ての思考回路が消滅する。
それまでの混乱が偽りであるかのように。
チラシ配りがはじまってしまえば、私はそれに集中するだけ。
なるべく自然な笑顔を作り不快音にならない程度の声を発し、無礼のない丁寧な接客を心がけるだけ。

チラシ配り一日目に学んだこと。
それは余計な感情を持たないことだった。
自分もそこに居る人達と同じ人間であると思うから辛くなる。
私はロボットか街路樹か。
人間以下のものなら何でもいい。
あ、人間様がチラシを受け取ってくれた。
人間様が私なんかに断りのお声をかけてくださった。
「暑くて大変だねえ、…」
そんな風に話しかけてくださったのは中年男性の姿を借りた神か仏に違いない。
私は見捨てられなかった。
暗闇の中にも光があった。

ほんやらどおのチラシを受けと取ってくださった皆様、受け取らなくても優しく接してくださった皆様、この場を借りて心より感謝申し上げます。


チラシ配りの人を見つけると、何度も横を通りたくなってしまう。
2枚でも3枚でも、どうせなら10枚くらい私にくれませんかと言いたくなる。
それでは意味が無いんだよ。
馬鹿でも分かることでしょう。
だけど、
馬鹿でもいいと思ってしまう愚か者。

その代わりといってはなんですがコンタクトはアイシティーで買うようにするし、貰ったチラシは自分だけでなくお母さんにも見せるようにする。
だからどうか許してください。


さて、集客効果は如何に。








カナ


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